Japolatino

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耳をすませば
6



雩:

ハイ...

 

地球屋主人 :

實はそれは磨くとかえってつまらないものになってしまう石なんだ...
もっと奧の小さいものの方が純度が高い...
いや...外から見えない所にもっといい原石があるかもしれないんだ...
イヤ-ハハハ...イカン...イカン...
歲をとると說敎くさくていかんな...

 

雩:

自分にこんなきれいな結晶があるのかどうかとてもこわくなっちゃった...
でも書きたいんです...書いたらきっとおじいさんに最初にお見せします...

 

地球屋主人 :

ありがとう...樂しみに待ってますよ...

 

雩:

.....原石...ラピス-ラズリの鑛脈...

 

バロン :

いざ...おともつかまつらん...ラピス-ラズリの鑛脈をさがす旅に!
おそれることはない...新月の日は空間がひずむ... 遠いものは大きく...近いものは小さく見えるだけのこと... とぼう! 上昇氣流をつかむのだ... 急がねば! 小惑星が集まってまた... いいぞ! 氣流にのった...このままあの塔をいっきにこそう...

 

 

 

雩 :

あんなに高く!?

 

バロン :

なあに近づけばそれほどのことはないさ...

 

雩:

いこう...おそれずに...午後の氣流が亂れる時, 星にも手がとどこう!

 

父:

あれ...!? ヘエ...めずらしいなァ...しずくが物語以外の本を探してるなんて...

 

雩:

この人...牢屋でバイオリン作っているんだ...

 

雩:

聖司君! もういっちゃったのかと思ってた...

 

聖司 :

おじいちゃんに聞いてここじゃないかと思ったんだ...
會えてよかった...明日いく...

 

雩:

あした...

 

聖司 :

いいよ...しずくがおわるまでここで待ってる...

 

聖司 :

おくれなくて...ごめんな...

 

 

 

雩:

ううん...來てくれてとてもうれしかった...見送りにはいけないけど...
歸りを待ってるね...

 

聖司 :

ウン...たった2ケ月さ...

 

雩:

あたし.....泣きごとばかりいってごめんね...あたしもがんばるね...

 

聖司 :

じゃあ...いってくる...

 

雩:

いってらしゃ-い!
(ゴトン...ゴトン...ゴトン...ゴトン...ゴトン...)

 

 

 

バロン :

わたしといいなずけのルイ-ゼは...遠い異國の町に生まれた...
その町には...まだ魔法が生きていて...
魔法使いの血をひく職人達が...工房をつらねていたものだった...
私達を作ったのは見習いのまずしい人形づくりだった...
しかし...ルイ-ゼとわたしはしあわせだった...
彼が人を愛する想いをこめてくれたから...
ところが...........
(プウウウウウヴイイイイイイン.....)

 

夕子 :

しずく...しずく...しずく!

 

先生 :

どうしたんだ? 月島!......

 

雩:

わ...判りません...聞いてませんでした...

 

先生 :

しっかりしろよ, 大事な時だぞ...

 

雩:

すみません...

 

先生 :

原田! かわりに讀め...

 

夕子 :

ハイ-!

 

夕子 :

エ-ッ! また4時までおきてたの!?

 

雩:

平氣だよ全然ねむくならないもん...

 

夕子 :

でもさ, しずく...このごろポ-ッとしてること多いよ...さっきだって...

 

雩:

考えこんでただけよ...書きたいことがありすぎてまとまらないんだ...
.....なんか食欲ない...

 

母:

しずく! いるんじゃない...やあね...あかりもつけないで...
あ~あ...洗タク物ぐらいしまってくれればいいのに...
しずく!!! ちょっと來なさい...しずく!!!!!!
(ピシャッ-)

 

父:

しずくは? いるんだろ...

 

母:

ほしくないって...

 

 

 

先生 :

あっ, お待ちしてました...

 

母:

お手數をおかけします...

 

先生 :

サァ...こちらへ...

 

先生 :

進路指導室あいてるだろう? どうぞ...

 

 

 

母:

ただいま...

 

姉:

おかえりなさい...

 

母:

きょうは...はやいのね, 汐...ハァ-つかれた...

 

姉:

コ-ヒ-のむ?

 

母:

たのむわ...

 

姉:

お母さん! ちょっと相談があるんだけど...

 

母:

なあに?

 

姉:

わたし家出ようとおもうんだ...もう部屋みつけてあるの...

 

母:

でも, お金かかるんでしょ...

 

姉:

大丈夫...バイトでためたし...塾の先生の口みつけたから,なんとかやっていける...

 

母:

そうか...汐には手傳いばかりやらせちゃったもんね...
がんばりな...お父さんに話しとく...

 

姉:

ほんと! うれしい...

 

母:

春までは何かとものいりだけど...卒業したらあたしもはたらけるから...
そしたら少しは應援するね...

 

姉:

うん...期待してる...ごめんね, 修士論文でたいへんな時に...

 

母:

ありがと...デ-タの整理 手傳ってくれただけで大感謝してる...

 

姉:

部屋が廣くなってしずくも少しは勉强に集中できるよ...あの子この頃變だもの...

 

母:

やっぱり...そう思う? 今日, 學校へよび出されたの...これみて...

 

姉:

なあに? これ...信じらんない! 100番もおっことしてるじゃない...

 

母:

あの子...机にかじりついて何やってるのかしらね...

 

父:

あっ...今晩わ...

 

となりの夫人 :

おかえりなさい...すいませんね...

 

姉:

あんな成績で, いったいどんな高校にいくつもりなの!!

 

雩:

いいわよ...高校なんかいかないから!!

 

姉:

高校いかない~~~? 世の中, 甘くみるんじゃないわよ!!
中學でただけでどうやっていく氣!?

 

雩:

自分の進路ぐらい自分で決めるよ!!

 

姉:

なまいきいうんじゃないの!! しずくのはただの現實逃避だよ...
二學期で內申きまるの, 判ってるんでしょう...

 

雩:

勉强するのがそんなにえらいわけ!?
お姉ちゃんだって大學入ったら, バイトしかしてないじゃない!!

 

姉:

あたしはやるべきことはやってるわ!!
いまやらなきゃいけない事から逃げてるのはしずくでしょう! それが判らない!?

 

雩:

逃げてなんかいない! もっと大事なことがあるんだから!

 

姉:

大事なことって何よ!? はっきりいってごらん!

 

父:

汐, しずく...もうよしなさい...

 

姉:

だって...お父さんしずくったらひどいのよ...

 

父:

ン...二人共こっちに來てわけを話してごらん...
しずく...ちゃんと服をきがえておいで...

 

姉:

はやくしな...

 

父:

なるほど...しずく...汐のいったとおりかい?

 

雩:

テストがどうでもいいなんて思ってない!!

 

姉:

さっき高校, いかないっていったじゃない...

 

雩:

だってお姉ちゃんがどこへもいけないっていった...

 

父:

汐...しずくと二人で話をするから度をはずしてくれないか...

 

姉:

ハ-イ...

 

父:

母さんは?

 

姉:

田中さんとこ...

 

母:

ただいま...

 

姉:

おかえりなさい...お母さん...

 

母:

お父さん歸ってるの?

 

姉:

うん...

 

父:

母さんもここへ來てくれないか...しずくのこと汐からきいたとこなんだ...

 

母:

ハ...イ...

 

父:

さて...しずく...いましずくがやっていることは...勉强よりも大切なことなのか?

 

雩:

ン.....

 

父:

何をやってるのか話してくれないか?

 

雩:

...いえる時が來たらいう...

 

母:

しずく, それっていますぐやらなきゃいけないことなの?

 

雩:

時間がないの...あと三週間の內にやらないと...
あたし, その間に自分をためすって決めたんだから...やらなきゃ...

 

母:

ためすって何を? 何をためしてるの?
だまってちゃ判らないでしょう...お父さんやお母さんにはいえないことなの?

 

母:

あなた...

 

父:

あ...すまん, ついな...(ふ-っ...)

 

父:

しずくが圖書館でいっしょうけんめい, 何かやってるのを見てるしなァ...
感心してたんだよ...しずくのしたいようにさせようか, 母さん...
ひとつしか生き方がないわけじゃないし...

 

母:

ン...そりゃあ...わたしにも身におぼえのひとつやふたつはあるけど...

 

父:

よしっ, しずく, 自分の信じるとおりやってごらん...

 

雩:

.....!?

 

父:

でもな, 人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ...
何が起きても誰のせいにもできないからね...

 

母:

それから...ごはんの時はちゃんと顔を出しなさい...

 

父:

そうだ, 家族なんだからね...

 

雩:

ハイ...

 

父:

汐をよんで來て...

 

母:

お茶入れるわ...

 

父:

ん...

 

 

 

姉:

しずく-...
お父さん...ああいってるけど本當は勉强してもらいたいと思ってるんだからね...

 

雩:

判ってる, 背中に書いてあるもん...

 

姉:

わたしこんどの日曜日に引越すからね...部屋 ひとりでつかえるよ...

 

雩:

お姉ちゃん, 家出るの?

 

姉:

そう! しっかりやんな...

 

聲(バロン) :

はやく! はやく! はやく! 本物は...ひとつだけだ!

 

月島 雩 :

どれ? どれが本物!?

 

聲(バロン) :

はやく! はやく!! はやく!!!

 

月島 雩 :

アア...ハハ...
(ボワ.....ピカアアァァァ...パアアアァァァ...)
(...ピカアアァァァ......)

 

月島 雩 :

キャアアアァァァ...

 

 

 

西 司朗 :

ルイ-ゼ...來てくれたのか...
わたしはもうすっかり歲をとってしまったよ...
(ゴトン!)(キイイィ...)

 

地球屋主人 :

.....!? しずくさん...え, さあどうぞ...いやぁすっかり眠ってしまった...

 

雩:

すみません...あの...物語を書いたので, もって來ました...

 

地球屋主人 :

オ...それで..できたんですね...

 

雩:

約束です...最初の讀者になって下さい...

 

地球屋主人:

これは大長篇だ!

 

 

 

 

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