← Anterior (Capítulo 3) | | Indice de Películas | | Siguiente (Capítulo 5)→ |
拓:
うん……
拓:
(モノロ-グ) ああいう子がえいがか……
松野:
は
ハワイ 3月 晝
年も明けて3月.待ちに待ったというよりも待たされた,修學旅行がやってきた.
男生徒C 杜崎!どうした?海へ行かんがか?
男生徒D 明日は高知じゃきの
拓:
なんや,朝から腹の調子が惡うてよ
男生徒C かわいそうやにゃあ,ほいじゃ
男生徒D じゃあ
そして,この因緣の修學旅行は,最後までぼくにることになった.
里伽子:
杜崎くん,お金貸してくれない?
拓:
金……?
拓:
どうしたがじゃ,金,使いすぎたがか?
里伽子:
うん,いえ,あのう……
里伽子:
あのね,持ってきた全財産,落しちゃったみたいなのよ
拓:
な……そりゃ大事じゃんか
拓:
センセに連絡したがか?トラベラ-ズチェッカやったら,すぐ連絡したらなんとか
なるらし
いぜよ
里伽子:
叱られるの,いやなのよ
拓:
何言うちゅうがちゃ.ちゃんとせにゃいかんぞ.金は大事だがぜよ
里伽子:
ふふ……
ごめんなさい.土佐辯のイントネ-ションて,ちょっと時代劇みたいね
ねえ,すわらない?
あたしも混亂してたのよ.ちゃんと說明するわね
お金はほとんど現金で持ってきてたの,トラベラ-ズチェックはめんどうでしょ?
だか
ら……
拓:
現金っち,ドルのか?
里伽子:
そう.ドルの現金.400ドルくらい.全然使わないうちに見當たらなくなったのよ
拓:
全部現金で持ってくるのがいかん.現金は2萬円以內ちゅうことやったろう
あとの3萬はトラベッラ-ズチェックにしろって,言われちょったろうが
里伽子:
そんなの誰も守ってないわよ!
なあに?まるで先生みたいなこと言うのね.杜崎くんて,そんな優等生だったの?
聞い
た話
と全然違うわ.がっかりよ
拓:
東京辯て,なんやケンカ賣りゆうみたいやな
里伽子:
え?なに,それ.あたし,ケンカなんか賣ってないわよ
拓:
うん.ぼくも時代劇の俳優じゃない
里伽子:
杜崎くんて,けっこう意志が惡いわね.ケンカ賣ってるなんて言われたの初めて
よ.わたい
のしゃべり方,そんなふうに聞こえる?
拓:
うん.みんなもそう思いゆうがぞ.なんちゃ-言うてこんのは,へんなこと言うた
ら,時代
劇みたいちゅうて笑われるきゃ
里伽子:
もうやめてよ
あたしが惡かったわ.別にバカにしたんじゃないのよ.でも,ドラマなんかでわざ
と地方の
言葉使うのあるでしょ.ああいうの,現實にはもうないと思ってたんだ
なのに高知に來たら,みんな平氣で ってるんだもの,びっくりしちゃった.で
も,時代
劇って言ったの,今が初めてよ.そう思ってたけど誰のも話してないわ
拓:
うん.そのほうがえい
里伽子:
うん……言葉ってやっぱり大切だわ.耳になじむまで,相手が何言ってんかわか
んないんだ
もん
何度も聞き返したりしたら,すっかり嫌われちゃったみたい
拓:
嫌われた,誰に?
里伽子:
クラスの人.特に男子が,ぜんぜん口もきいてくれないの
クラス委員の
松野:
くんは別だけど.あの人,親切ね
拓:
うん.
松野:
はええやつじゃ.武藤は,ぼくのこと,
松野:
に聞いたん?
里伽子:
うん.冬休みに,帶屋町のお料理屋さんで,エプロンして,?いているの見かけた
のよ.一
緖にいた
松野:
くんが,あいつはよく?くなって言ってたわ.それでいろんなこと聞
いんたの
よ.中等部の頃の反抗ぶりとか,ふたりきりの說明會とか……
拓:
そんなことまで話したん
里伽子:
ねえ!夏の冬もバイトして,お小遣いたくさん持ってきてるんでしょ?
拓:
いくらいるが
里伽子:
いくら貸せそう?
拓:
円で6萬円と,ドルじゃと400ドルばぁかな.まだ全然使っちゃあせんし,300ドル
ばぁ貸し
てもえい
里伽子:
ほんと!?じゃあ6萬円のほう,貸してくれない?
拓:
な……
拓:
ここで待っちよれ
拓:
6萬やと!
里伽子:
ごくろうさまでした.杜崎さま.
拓:
金,どうする?ここで渡すがか?
里伽子:
杜崎くんって用心深いのね.じゃ,そこの椅子に座ってよ
里伽子:
(OFF) お金,このハンカチにくるんで,ハンカチごとあたしのちょうだい
拓:
なんや,ヤバイ取引きやりゆうみたいやなあ
里伽子:
日本に歸ったら返すけど,すぐってわけにはいかないと思うの.アテはあるの
よ.でも,す
ぐじゃないの
拓:
まあ,いつでもえいちゃ
里伽子:
(OFF) このこと,誰にも言わないでくれる?
拓:
ん,けんど,なんで?
里伽子:
ママに知れたら,叱られるからよ.
拓:
ママ……
拓:
なんぜよ,あいつは
松野:
よう
拓:
あいつ……ぼくのこと知っちよるき,たまけたぜ……おまえら,仲良さそうやん
か,デ-ト
したんやてな?
松野:
デ-トじゃないよ.冬休みに帶屋町でばったり會(お)うたき.ダメモとで映畵
誘ったらすん
なりとOKで,こっちのほうがびっくりしたぞ.何話してえいかわからんし,おた
おたしよっ
たら……
おまえがバイトしよう店の前通ったき,ついおまえの話をネタにさせてもろうた.
助かった
ぞ
拓:
そのネタのおかげで,いま借金申し翔まれたんぞ
松野:
借金て,武藤が,おまえに?
拓:
うん.小遣い落したがやと.ほんで,ぼくが通りかかったき,バイトでがっちり稼
いでたの
思い出したがじゃろうの
松野:
へえ,小遣い落したがか,そらむごいね.ふう―― ん
なあ,街でもぶらつかんか?
拓:
えいにゃあ
松野:
ほんなら,水着,部屋に置いてくるき,ちょっと待っちょってくれや
拓:
ふん……
拓:
ん……おう
里伽子:
誰にも言わないでって言ったのに,もう
松野:
くんにしゃべっちゃったのね!
拓:
え?
松野:
がなんて?
里伽子:
お小遣い餘ってるから貸そうかって言ってくれたのよ
拓:
へえ,やっぱりあいつ,ええヤツやろ?
里伽子:
2萬円借りたけど……もう他の人には言わないでね!ほんとに困るわ!杜崎くん
て,男のくせ
にけっこうお りなのね
拓:
なんぜよあいつ,どういう育ち方しちょるんじゃ
翌日,ぼくたちは高知に歸り,須田というやつが隱し撮りした
里伽子:
の無防備な寫眞をぼくは
腹いせのつもりで買った.
それで
里伽子:
への反感は忘れたつもりだったのに―
高3のクラス替えで,ぼくと
里伽子:
は同じクラスになってしまった.
學校 4月 晝
里伽子:
裕美,お辯當
小浜 うん
里伽子:
にも友だちができた.
同じクラスになった小浜裕美という,どちらかといえば目立たない娘で―
杜崎家 四月末 朝
まあ,それはいいのだけれど,ゴ-ルデンウィ-クになっても
里伽子:
はあのお金を返さなかっ
た.
まるで忘れてしまったみたいに……
拓:
の母(OFF)
拓:
,電話ぞね.小浜さんゆうコから
拓:
よう,小浜か?公衆電話なんか,これ
小浜(OFF) 杜崎ィ,あたしどうしたらええか,もうわからんなった
拓:
どうしたん
高知空港
小浜 今日,
里伽子:
とね,一緖に大阪のコンサ-ト行って,むこうで2泊してくることに
なっちょっ
たが.それやに空港へ來たら,
里伽子:
ゆうたら本當は東京に行くって言うが.最初
からその
つもりやったがやと
小浜 今,あたしトイレに行くゆうて,電話しゆうがやき
拓:
(OFF) なんだ,それ
小浜 2泊して歸ってくるのは同じやき,えいやんかって,
里伽子:
は言うけんど
小浜(OFF) もう
里伽子:
,東京行きの切符も2枚買うてあるゆうし.あたし,母さんに噓つく
ことになるも
ん
拓:
落ち着けや.なにも一緖に行くことないやろ.行かんて言うて武藤ひとりほっ
ちょったらえ
えんじゃ
小浜(OFF) けんど,
里伽子:
のお母さんも,あたしが一緖やきOKしたがやと.だから絶對一
緖に行ってく
れて.ねえ,どうしたらええ?
拓:
どうしたらええっち
拓:
ちょっと待ちや.どうしてぼくに聞くが,そんなことを
小浜 だって
里伽子:
.飛行機代とか,杜崎にお金借りてきたって言うやんか.そんなに
親しいんな
ら,
里伽子:
說得できるろう? ねえ,杜崎,空港へ來てェ.あたしらの乘る便,11
時半やき,
まだ1時間半もあるき
小浜(OFF) お願いね.絶對來てよ
拓:
あのカネか……!
拓:
(モノロ-グ) ハワイでカネを落したき,かしてくれ言うちょったんは,みんなウソじゃ.今
日のための
準備じゃったんか.まっこと,人をばかにしおって,ええかげんにせい,ちゅん
じゃ!
小浜 杜崎!!來てくれたが
拓:
武藤は?
小浜 今,トイレ
小浜 今朝から具合がようないがやと.このまま體調くずして,旅行取りやめにしてく
れたら助か
るがやけんど
拓:
とにかく,武藤のやることはムチャクチャじゃ.おまえも友達なら,說敎のひとつ
やふた
つ,ピシッと決めてみいや
小浜 でも
里伽子:
どうしてもパパに會いたい言うし,かわいそうやなとか思うて……
拓:
パパッて,おやじさんのことか!?
里伽子:
なによ,どうしてこんなところにいるの?
裕美が連絡したの?
小浜 ねえ
里伽子:
,こんなウソついて行くのやめよう.ちゃんとお母さんに言うてから
里伽子:
ママは絶對に行かせてくれないわよ.だから,ずっと前から準備してたの
拓:
まあ待ちや.じゃあ,こうせ-や.小浜,家に電話してな,空港でえらい氣分が惡
うなった
き,もどるって言え.
小浜 え,けんど……
拓:
ほんで,武藤もえらい心配しちょるけんど,コンサ-トチケットもったいないきに
ひとりで
行ってもらうことにしたちょうて
拓:
(OFF) 小浜の親も,なんやかんや言うたち小浜が心配なだけじゃき,武藤のことまでイ
ロイロ言わ
んろう
小浜 そうよね.うちのお母さん,
里伽子:
のお母さんのことしらんし.絶對,告げ口な
んかせんき
里伽子:
いいわよ,それで
小浜 電話してくる
拓:
小浜もお孃さん育ちじゃの.發想轉換して,東京で遊んでこうちゅう氣にならんと
こがエラ
イちゃ
拓:
ふう……おまえ,體の具合ようないんやて?
里伽子:
あたし,生理の初日が重いの.貧血おこして寢翔むこともあるのよ
拓:
寢翔むんか
里伽子:
(OFF) 男の人はわからないでしょ,どうせ
拓:
……おまえ,どうしても行くがか
里伽子:
(OFF) 借りたお金はパパからもらうわよ.ちゃんと返すから心配ないでよね.
拓:
(OFF) ……おまえ
ひとりで行くんが不安じゃったら,ぼくも一緖にいっちゃろか?
里伽子:
ほんと? ほんとうにそうしてくれるの?
機內
拓:
なあ,おい
里伽子:
ん?
拓:
(OFF) おまえが行くの,おやじさん,ちゃんと知っちゅうがやろ.羽田に迎えに來ちゅ
うんか?
里伽子:
來てないわよ,きっと
拓:
(OFF) おやじさん,ぼくの泊まるとこ,紹介してくれるろうか
里伽子:
もちろんよ,賴んであげるわ
拓:
← Anterior (Capítulo 3) | Indice de Películas | Siguiente (Capítulo 5)→
Esta obra está bajo una licencia de Creative Commons.
Copyright © 2007-2015 Helena Rivero
Si te apetece puedes avisarme cuando encuentres algún error en la página.